串本町の東北端の海岸から大島に向かって、一直線に850mも奇岩が並び、その姿が前の海面にきれいに映っている。海水の清澄度の高さが一目瞭然。岩々の背後に朝日が昇ってくると、明るさの中にシルエットの橋杭岩がくっきりと浮かび、海面に映ったその姿は流れにつれてゆらゆらと動く。混在する両極端の険しさと柔らかさが、かえって調和されたハーモニーを奏でるような風景を描いている。自然は偉大な作曲家、偉大な画家−。

「ここは串本、向かいは大島。仲をとりもつ巡航船」と謡われる大島も、平成11年秋に完成したくしもと大橋によって、アクセスが便利になった。島の南岸、樫野崎(かしのざき)には日本最古の石造り灯台、近くにトルコ記念館や日米修交記念館もあって南国的な雰囲気。この当りが朝ぼらけに包まれると、その雰囲気がより強く迫ってきて、心地よい旅心に浸ってしまう。

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