場所、季節、時間、天候・・・さまざまな条件がかさなりあって作られる大空のグラデーション、夕陽。また、場所によって大きさまでも違って見えます。このなぞを、科学的にわかりやすく紹介します。
■夕陽の色はなぜ赤い?
夕焼けは雲が太陽の光にあたり、赤く見えていると思っていませんか。しかし、実際は雲ではなく、大気が大きく影響しているのです。
夕陽の光は昼間と違い、大気圏を斜めに差し込むため光の大気路程(光が通過する大気の厚さのこと)が長くなります。その長さの違いによって、一番強く散乱する光の色が異なってきます。西空は、大気路程の長い地平線付近から、上方に向かって赤・黄・浅黄・緑・青・紫へと染まり、そして太陽が沈むにつれてそれらの色が移り変わっているのです。
■冬は橙、夏は赤?
冬の夕陽は黄色や橙色に染まり、夏は赤系統の夕陽が多くなります。
これは冬型の気圧配置、西高東低の場合、北西の季節風が強く、大気の塵が吹き払われ、水蒸気も少ないので、赤系統の光の散乱が弱くなり、赤色ではなく黄色や橙色の夕陽になります。一方、移動性高気圧の場合は、風が弱く南からの大気が流入しやすいので浮遊する塵や微小水滴が多くなるため、赤系統の光を多く散乱し赤く染まります。
■日本海の夕陽は大きい?
「日本海の夕陽は大きい」ということを聞いたことありませんか。
これも大気と大きく関係してきます。
偏西風にのって乾いた空気は、日本海の上空で、海面から蒸発した水分をたっぷり含んだ湿潤な大気となって海面に漂います。この変化に富んだ大気のフィルターを通して、日本海の夕陽は変幻自在にその色彩と形態を変容させているため、日本海の夕陽は大きく美しいと言われています。
***参考文献***
倉嶋 厚「夕焼けの科学」
羽賀 康夫「ボクの夕陽撮影ノート」
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