山本 博之(元 関西国際空港株式会社経営企画部企画課長)
昭和39年生まれ 大阪府出身 昭和61年4月 運輸省入省 大臣官房国有鉄道部 平成10年7月〜平成12年9月 関西国際空港株式会社 経営企画部 企画課長 平成12年10月 運輸省 運輸政策局 貨物流通企画課 補佐官
関西国際空港は、昨年秋に日本の夕陽100選に選ばれました。 私個人にとっては、運輸省というお役所から関西国際空港株式会社に、身分も公務員から会社員に移しての関空での日々の中のできごとの一つだったのですが、そのころの関空は、開港当初の航空需要の伸びにも翳りがみられ、経済低迷等の影響も受けた厳しい環境下、エアライン、航空旅客の方々をはじめとして、関空の利用拡大に全社的に取り組んだ時期でした。課題毎にグループを作り、海外でのポートセールスや海外修学旅行拡大のための府県回りなど様々な活動を行いました。夕陽100選への取り組みは、そんな中でも小さな活動でしたが、懐かしいものの一つであり、その思い出を書いてみたいと思います。 関西の人に、もっと空港に足を運んでもらうためには、「何か、関空にしかないもの」を見つけ出すこと、作り出すことが大切じゃないかと漠然と感じていたのですが、そんなとき、同じグループの人が見つけてきてくれたのが「夕陽100選」の話でした。全国から夕陽の名所の市町村を選ぶという企画とのこと。かつて海遊館という水族館の近くで大阪港をながめて勤務していたこともあり、西に向かって開けた大阪が夕陽の名所だとは知っていましたが、PR対象地域が全国であること、お金のかからない自然現象を売りにすること、市町村が並ぶ中で空港という異色の存在になれること、おそらく多くの他の名所が自然の風景と夕陽の組み合わせであるのに対し、空港島という壮大な人工物と夕陽というこれまた変わった組み合わせをアピールできるのでは・・・ということから、直感的に応募を決めたのでした。 100選に選ばれるとなれば、次は、その中でも「関空」をPRしなければと、関空島内のホテルのバーに頼み込んで、「夕陽」にちなんだカクテルメニューを創ってもらい(そのときのメニューは今でも職場の机の上にあります)、キャンペーン期間と時期をあわせ、店で提供することとしました。このことで一般紙でもわりと大きな新聞記事としてもらうことができました。 広報の担当者や、空港での名所の一つとして選んでいただいた見学展望ホールの担当者など若い社員の方々の協力もあり、その後、2度にわたる写真展を見学展望ホールで実施することもできました。普段より入場者が増えたことに加え、アンケートをとったら、テレビでの報道を見て、わざわざ京都から来ていただいた方もいらっしゃったことに感激。今は、空港ターミナルビル内での空カウンターで夕陽の写真展を開催中とのことですが、この10月に東京転勤になった私は、実はまだみていません。今度大阪に帰省する際の楽しみの一つです。 海上空港という特殊な場所で、夕陽に照り出される空を飛行機が飛んでくるといった非日常的で幻想的な雰囲気というのはこれからも空港の大きな売りになるでしょうし、このホームページをご覧の皆様も是非一度「夕陽の国際空港」を訪れてみてください。一方で、皆様をお迎えする空港の方でも、「夕陽」という2文字から、これからもどんな発想豊かな企画を生みだしていけるか楽しみです。いろいろとお世話になったサンプロジェの皆様にも引き続きよろしくお願いしたいと思ってます。 ・・・というようなことを書いていたら、窓の外、議事堂の向こうに、もう夕陽が沈みかけています。この辺で筆を置きたいと思いますが、眠らない空港では深夜便を迎えるための準備がそろそろ始まっている頃でしょう。 太陽は一つですが、「夕陽」は見る場所や背景、時間、ひょっとしたら見る人やその時の気分によっても全て違うものかもしれません。最後になりましたが、同様に100選に選ばれた各地域におかれましても、そんなOne and Onlyな「夕陽」も一つの核にしながら、観光の分野をはじめとして、地域の発展をますます図られますよう、お祈り申し上げます。
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