和歌浦(わかうら)
紀伊半島の北西、紀ノ川の河口に位置する和歌山市は、黒潮によって温和な気候に恵まれた街。古くは徳川御三家のひとつであった和歌山城は、市のシンボルである。そこから南の海側にある和歌浦は、万葉の歌人に「若の浦に潮満ち来れば……」と詠まれたほど、太古の昔から景勝の地であった。
和歌浦湾に面した片男波(かたおなみ)公園の一角には、万葉歌の世界を紹介する万葉館があり、潮風を受けながら散策できる万葉の小路もある。また、ビーチからは湾を挟んで牛ノ鼻(うしのはな)や章魚頭姿(たこずし)山、街の家々が風景画のように見える。夕刻になると、茜色に包まれシルエットになっ
ていく街に明かりがぽつぽつと灯り始める。まるでイルミネーションで飾ったよう……なぜか旅情を誘われる光景が広がっていく。
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